ISMS認証取得は自力かコンサルか?費用・期間・工数で徹底比較|失敗しない選び方を解説

ISMS認証の取得を検討している企業のご担当者とお話していると、ほぼ必ず同じ質問をいただきます。
「自社だけで取得できますか?それともコンサルに頼んだほうがいいですか?」
ISMS認証は「申請すれば取得できる」というものではなく、社内体制の構築や規程整備、運用の定着まで求められるため、進め方を間違えると以下のようなリスクがあります。
- 取得までに想定以上の時間がかかる
- 運用が定着せず形骸化する
- 審査で不適合を指摘され、認証取得のスケジュールに影響する
本記事では、「ISMS認証取得」を検討している企業に向けて、自力取得とコンサル活用の違いを実務レベルで比較し、自社に合った、最適な選択ができるよう解説します。
読み終わったときに「うちの会社はこっちだな」と自分で判断できる状態になっていることが、この記事の狙いです。
目次
ISMS認証取得とは?まず押さえるべき基本
ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)とは、企業の情報資産を守るために、情報セキュリティを継続的に管理・改善する仕組みです。
ISO/IEC 27001は、ISMSに関する要求事項を定めた国際規格であり、第三者認証の基準として利用されています。
ここで一番誤解されやすいのが、ISMSは「書類を揃えれば終わり」ではないという点です。
ISO/IEC 27001が要求するISMSでは、単なるルール作りである"構築"ではなく、以下を含む“運用”が求められます。
- リスクアセスメントとリスク対応
- 社内規程や管理策の運用
- 従業員教育・意識向上の実施
- 内部監査およびマネジメントレビュー
- 継続的改善(PDCA)
ISMS認証は文書作成がゴールではありません。
つまり、書類の出来映えではなく、リスク管理・教育・監査・改善活動を継続的に実施し、「情報セキュリティを管理する仕組み」が実際に機能していることが求められます。
まずはこの基本を押さえておくと、このあとの「自力かコンサルか」の判断がぐっとしやすくなります。
ISMS認証取得の進め方は大きく2つ
まずはISMS認証取得の進め方から把握していきましょう。
ISMS認証取得には大きく分けて以下の2パターンがあります。
① 自力で取得する
社内の担当者が中心となり、ISMSの構築、規程整備、運用の定着、審査対応まで行う方法です。
ISO27001の知識がなければまず最初に規格を読み込んで意図を理解する必要があります。
② コンサルに依頼する
専門コンサルタントの支援を受けながら、ISMSの構築、規程整備、運用の定着、審査対応まで行う方法です。専門家がISMSの知識の提供、文書のひな型の提供、認証取得までの進行管理までサポートしてくれます。
どちらが優れているという話ではなく、自社の状況によって正解が変わります。
次のセクションでは、それぞれのパターンのメリット・デメリットを見ていきましょう。
自力でISMS認証を取得するメリット・デメリット
自力でISMS認証を取得するメリット
コストを抑えられる
コンサルに依頼する費用がまるごと不要になるので、必要なのは担当者の人件費・審査費用・必要なツール利用料が中心になります。
社内理解が深まりやすい
自分たちで規格を読んで、自分たちでルールを決めるので、「なぜこのルールがあるのか」が担当者の中にちゃんと残ります。
一見地味なことのように思えますが、認証取得後には維持審査があり、3年間の認証サイクルの終了時には再認証審査を受けるのが一般的です。
そのたびに「これ、なんでこうなってるんだっけ?」となる会社と、ならない会社の差は大きいです。
自社に最適化した運用ができる
自社のことを理解した担当者によって、自社の実態に合った仕組みを作れる点が大きな強みです。
現場が守れるルールが組みやすい、という点では最大のメリットになり得ます。
自力でISMS認証を取得するデメリット
とにかく時間がかかる
ISMSの知識がない場合、知識習得からスタートになるので、当社への相談事例では、社内の体制や準備状況によって6ヶ月〜1年以上かかるケースがあります。
ISO27001の規格本文と附属書Aの管理策を読み込むだけでも、初見だとかなりの体力を使います。
担当者の負担が大きい
専任の担当者を立てるに越したことはないですが、多くの会社では情シスや総務の方が通常業務と兼任で進めることになります。
この「兼任」が曲者で、忙しくなると真っ先に止まるのがISMSの作業です。気づいたら3ヶ月手つかず、というのはよくある話です。
審査で指摘を受け、認証取得が延期されるリスク
規格理解や運用が不十分な場合、審査で不適合を指摘され、是正対応が必要になる可能性があります。
内容によっては、認証判断までの期間が延びたり、追加の確認やフォローアップが必要になったりすることもあります。
正直なところ、社内に経験者がいない状態での初回自力取得は、かなりのハードモードです。
認証取得できないことはありませんが、覚悟と時間の確保はセットで必要になります。
コンサルに依頼するメリット・デメリット
ISMS認証取得をコンサルに支援してもらうメリット
認証までの期間を短縮しやすい
ゼロから作る必要がなく、効率的に構築を支援してもらうことで、3〜6ヶ月程度で認証取得を目指せるケースもあります。
「いつまでに認証取得する」と期限が決まっている場合、期間だけでみるとコンサルに支援してもらうほうに軍配が上がります。
担当者の負担軽減
コンサルにドキュメントのドラフト作成や進行管理をサポートしてもらうことで、自社でかかる工数がぐっと下がります。
そうなると、専任担当がいない場合でも、ISMS認証取得と通常業務を並行して進めやすくなります。
審査での指摘リスクを軽減しやすい
コンサルが審査ポイントを熟知しているため、審査のときに「あれ、これってどうなっていたっけ・・・」ということが減り、準備不足による不適合や認証取得スケジュールへの影響を抑えやすくなります。
ISMS取得をコンサルに支援してもらうデメリット
コストがかかる
一般的にはコンサル相場として、ISMSの構築から認証取得まで数十万〜100万円超の費用がかかることがあります。なお、依頼するコンサル会社や支援内容によって費用が上下します。これに審査費用が別途発生します。
丸投げすると形骸化する
これが一番のリスクといっても過言ではありません。
コンサルに任せきりにしてしまった場合、立派な文書一式が揃うかもしれませんが、中身を誰も理解していない、という状態になりがちです。実際に多いのが、認証を取得した翌年の維持審査で慌てるパターンです。「内部監査の記録がない」「教育を実施していない」「組織や業務が変わったのにリスクアセスメントを見直していない」——支援が終わった瞬間に運用が止まっていた、というケースです。
意外な落とし穴
コンサルの支援を受けていても、あくまでも実際の認証審査時に説明する主体は「自社の担当者」です。
審査では、文書の内容だけでなく、実際にどのように運用しているかも確認されます。そのため、想定問答を準備するだけではなく、自社の担当者が仕組みや運用状況を自分の言葉で説明できる状態にしておく必要があります。
自力 vs コンサル|比較まとめ
表にすると、それぞれの強みがはっきり出ます。
自力取得は「取得にかかる費用 」と「社内理解」が強く、コンサル活用は「取得までの期間」と「担当者負担」が強い。
「とにかくお金かけたくないけどちゃんとやりたいな」ということであれば自力取得を検討し、
「とにかく急いでとらないと・・・でも詳しい人がいない」ということであればコンサルの支援を検討するのが健全です。
| 比較項目 | 自力取得 | コンサル活用 |
| 外部費用 | ◎ 抑えやすい | △ 支援費用が発生 |
| 取得までの期間 | △ 長くなりやすい | ◎ 短縮しやすい |
| 担当者負担 | × 大きくなりやすい | ◎ 軽減しやすい |
| 審査対応 | △ 準備から説明まで自社で対応 | ○ 助言を受けられるが、自社の理解も必要 |
| 社内理解 | ◎ 深まりやすい | △ 丸投げで形骸化の可能性 |
結論|どちらを選ぶべきか?
結論としては、以下の判断軸で検討することをおすすめします。
自力でのISMS認証取得がおすすめな企業
- 社内に情報セキュリティの知見がある
- 時間コストよりも内製化を重視したい
- ISMS運用を社内に定着させたい
ひとことで言えば、 「時間をかけてでも自社にノウハウを残したい企業」です。
コンサル支援がおすすめな企業
- 営業要件などで、とにかく早く認証取得したい
- 担当者リソースが足りない
- 初めてISMSに取り組む
ひとことで言えば、 「スピードを重視し、専門家の支援を受けながら進めたい企業」です。
ちなみに、この2択の中間——「要所だけ相談しながら、手は自社で動かす」という進め方もあります。
全部お任せするより費用を抑えられて、かつ自力だけで進めるよりも迷いや手戻りを減らしやすい。実務としては、この形が一番バランスがいいという企業もあるかもしれません。
失敗しないための重要ポイント
自力かコンサルかを問わず、取得後に困らないために必要なのはこの3点です。
現場が守れるルールにする
規格に適合することと、必要以上に厳しいルールを作ることは別です。
自社のリスクに合っていて、現場が継続して守れる仕組みにする必要があります。
文書を作りすぎない
「規格に書いてあるから」と過剰な文書を増やしていくと、維持・運用のコストがかかります。
必要なものを必要なだけ。ISMSは文書量を競う制度ではありません。
継続的な教育・改善
情報セキュリティ教育や内部監査、マネジメントレビューなどを、自社で定めた計画に沿って継続的に実施します。また、重要な組織変更やインシデントがあった場合には、次の定期実施を待たずに、必要な見直しを行うことも大切です。
ここが止まると、翌年の維持審査で運用実績を示せず、慌てることになります。
まとめ|ISMS認証取得は“目的”ではなく“手段”
ここまで読んで、
「うちの会社は自力かな」
「いや、コンサルの支援が必要そうだな」
と考えることができたでしょうか?
ISMS認証取得はゴールではありません。
認証取得後も、教育・監査・改善を継続しながら、情報セキュリティを管理する仕組みを回し続ける必要があります。
だからこそ大切なのは、 「自力かコンサルか」そのものではなく、自社に合った方法を選び、認証取得後も無理なく運用できる状態を作ることです。
ISMS取得でお悩みなら、まずはご相談ください
ISMS取得を検討しているものの、
「自力でできるか不安」
「コンサルを使うべきか判断できない」
という方も多いのではないでしょうか。
当社では、企業ごとの状況に合わせて
- 自力取得の進め方のアドバイス
- 最適な取得プランの設計
- 運用まで見据えた支援
を行っております。
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